2013年6月1日
毎年、夏のツーリングと言えば道東か道北方面ばかりだったので、道南には未開拓の地が多い。
職場のバイク仲間の一人であるS君と意見が一致し、江差・松前方面を周ってくる予定となった。
のだが、、S君前日になって体調不良を訴え、まさかのリタイア!
ひとりで行くのはちょと寂しいが、せっかく天気にも恵まれたので、S君には悪いがひとりでも行く事にした。
休憩のため道の駅あぷたに立ち寄ると、面白いものを発見。
リヤカーを改造した荷台にアルミ製の大きな箱が載せられている。
「○桶?」
眺めていると、持ち主である男性が戻って来た。
定年退職の記念に、山口県から出発してこの風変わりなリヤカーで全国を旅しているそうだ。
箱の中を見せてもらったが、内側から断熱材を張り、寝袋と日用品がうまくおさめられてる。
寝る時は水平を保つため、車体の前後に取り付けられた可動式のポールが延びるようになっている。
「これだと何処でも快適に寝ることができるので、テントよりずっと快適ですよ。」
初老の男性が楽しそうに話していた。
八雲から雲石峠をこえて日本海側に抜ける。
青空の下、残雪を抱いた山の景色が美しかったのだが、中々写真を撮る場所がないのがちょっと勿体無い。
熊石の青少年旅行村に向かう道路沿いの桜並木。
桜の種類は良く分からないが、濃いピンクが鮮やかだ。
R229をひたすら南下。
乙部町 道の駅ルート229元和台
後ろに映っている多摩ナンバーのCRFだが、同じようなルートを走っているため、この後も松前を廻り福島あたりまで何度も出くわす事になった。
福山街道(松前街道)
生まれて初めて走る道南日本海沿いのルートだが、想像していたよりもずっと快適で走りやすい道である事を実感した。
道の駅 江差
道の駅江差の駐車場に繁次郎のユニークな像が立っていた。
繁次郎とは、幕末のころに実在した江差のとんち名人だそうだ。
小柄で頭と目玉がやたら大きく特徴のある風貌をしていたことから、像もこんなになっちゃったのだろう。
ここから見える海岸も「繁次郎浜」と名付けられている。
11時55分 松前到着
まずは、道の駅の中にある「北前食堂」で昼食。 松前本まぐろ漬け丼(1,200円)
松前は津軽海峡の向こう大間と同様マグロが特産品のひとつになっている。
ここまで、道の駅を3か所寄って来たが賑やかなのはここ松前くらいのものだった。
デザートは期間限定の「さくらソフトクリーム」。桜のほのかな香りがした。
松前城見物
せっかく松前まで来たので松前城を見学することにしたが、資料館には入らず周辺を歩いて眺めることにした。
松前と言えば桜の名所であるが、今は6月当然ながら花は全て散り青い葉だけになっている。
木にはすべて名前が書かれた札がとりつけられていた。単に桜と言っても数多くの種類があるのだ。
「血脈桜(ケチミャクサクラ)」と言うのが有名で、光善寺の境内にあるそうだが、途中案内看板はあったものの辿りつく事は出来なかった。
築城は1606年(慶長11年)だが、その後修築と拡大を経て1854年(安政元年)に完成したそうだ。
太平洋戦争でも難を逃れ残っていたが、昭和24年の役場の火災からの飛び火によって天守閣も焼失してしまった。
現在の天守閣は昭和36年に再建されたものだそうだ。
松前を後にし、福島と知内のみちのえきで適度に休憩をとり函館市へ。
上磯あたりから海をみると、函館山に向けて何やらパイプラインのようなものが長く延びているが、何だろう?
本当は函館市内も寄りたかったのだが、時間的に余裕があまりない事と一人で市内見物をしてもつまらないと思い、今回は通過する事にした。
函館新道沿いのスーパーで食糧を調達したあと、赤松街道を通る。
「やはり函館の道と言えばここだな」と、子供の時から通ったこの道を懐かしみながら大沼公園へ向けて走る。
東大沼キャンプ場
16時40分 東大沼キャンプ場到着。
広々として快適な湖畔のキャンプ場だ。
テント設営を済ませ、近くにある流山温泉で汗を流す。
温泉施設の隣にもキャンプ場があった。
平坦な草地のキャンプ場で駒ケ岳の頂上付近が眺められるのだが、せっかく大沼に来て湖に面していないキャンプ場もないだろう。
しかも、向こうは無料だ。
食事をしながら、ひとりのんびりと。
利用者の大半はファミリーキャンパーでライダーは自分を覗いては2人くらいか。
特に話しかける雰囲気でもなかったので、孤独に夜を過ごす。
相棒がいれば楽しく盛り上がる事もできたのだが、ちょっとテンションが下がっちゃうな。
静かな湖畔の夕暮れの景色だけが友達だ。
道路を挟んでキャンプ場の向かいに「北川商店」という小さな店がある。
コーヒーや軽食も食べることが出来き、炭、カセットガス、調味料、洗剤、虫よけスプレー、蚊取り線香、飲み物からカップ麺やレトルト食品などキャンプに必要となる用品が一通りそろっており、いざと言う時に大変便利だ。
レンタルサイクルなどもやっているようだった。
キャンプ場は利用料が無料である反面、ゴミは持ち帰りとなっている。
ただ、この事は事前に調べておいたのだが、朝7時半過ぎになると北川商店の前でゴミを回収してくれる。
実際にその時間(8時近くにはなったが)に、どこからか年配の男性がやってきてゴミを分別して回収してくれた。
その男性に声をかけてみると、「私は近くに住んでいてこれは好きでやっているんですよ。」と優しい笑顔で答えてくれた。
その後、その男性はキャンプ場内を歩き回り、ゴミを拾い集めてくれたり、無料で貸し出されているプラスチックの椅子をキレイに拭いていた。
近年、有料のキャンプ場でもゴミ持ち帰りのところがでてきている、無料となればなおさらだ。
キャンプ場を管理している市や町が、予算の関係や管理の都合でそうしているようだが、それにしても思いやりのない対応だと思う。
キャンパーのマナーが低下している事も原因のひとつではあるかもしれないが、キャンプツーリングを楽しみたいライダーはどうすればよいのだろう。
そんなご時世にこのような奇特な方が好意でゴミを回収してくれるのは、本当にありがたく思う。
「でも、この男性がいなくなった後はどうなるのだろう?」
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