2002年の夏のツーリング。
今年もまた昨年同様、道東方面に向けて走る事にした。
昨年、悪天候のため知床到達を断念せざるを得なかったためのリベンジツーリングだ。
2002年7月12日
早朝5時、近所の安眠を妨害する自分の行動にかすかな罪悪感を覚えながら、自宅を出発する。
R36沿いに信号でうんざりする苫小牧市内を抜け、R235鵡川から、今回あたらに発見した平取までの抜け道R74を通る。
今年もまたまたスッキリしない空の下、道の駅「樹海ロード日高」で休憩タイム。
時間はまだ8時前後くらいだったが、この時間でも2~3人のバイクが駐車していた。
1人の道外ライダーと、しばし懇談。
と、私のバイクのタイヤを見て「あ~。。かなり減ってますよ。これはヤバイですよ。」
出発する前から、それは認識していたのだが、「まあ、今回のツーリング位はなんとか持つだろう」と、甘い考えを持っていた。
が、それが後でとんでもない事になるとは夢にも思っていなかったのだ。
日勝峠をこえ、R274を鹿追、士幌と順調に走り、途中足寄市街手前のドライブインでちょっと早めの昼食をとり、再出発。
双湖台
今回もあまり天気は良くなかったが、昨年よりは幾分ましで、周囲の景色も多少は眺める事が出来た。
阿寒横断道路の中間で「双湖台」という案内看板が見えたので、ちょっと立ち寄ってみることにした。
駐車場の上に、展望広場と小さな喫茶店がある。
ハーレーのライダーと話をしながら、コーヒーを飲み、景色を眺める。
「ペンケトー」と「パンケトー」と名付けられたカルデラ湖が見える、手前に見える「ペンケトー」がここから眺めると北海道の形に良く似ている。
地球がま~るく見える「開陽台」
阿寒横断道路の峠を越え、弟子屈の道の駅「摩周温泉」で休憩後R243パイロット国道をひた走り、途中ライダーにも人気のスポット「開陽台」に立ち寄る。
生憎の天気だったので、こちらのページにとりあえず簡単に晴れた日の写真で紹介しておいた。
バイクや観光バス、マイカーが入れ替わりやってくる。
ご覧の空模様ではあったが、十勝平野の広大さを幾分感じる事ができた。
養老牛温泉 からまつの湯露天風呂
順番は逆になってしまったが、開陽台に立ち寄る前に、養老牛温泉から渓流沿いにある無料の露天風呂「からまつの湯」を見に行った。
駐車スペースに数台の乗用車と1台のオフロードバイクが停まっている。
数人の入浴客がいるようだ。
この時は、何となくためらいがあったので、入浴もせず、露天風呂も見ずにその場を立ち去ってしまった。
後の、ツーリングでしっかり入浴しているのでツーレポか温泉情報で紹介しよう。
北19号線から、武佐に出てR975をR244に到達するまでの直線道路をひた走り、小雨がややぱらつく中、R335を羅臼に向かう。
知床羅臼が近づくにつれて、道路の左右いたるところにエゾシカが人もさほど恐れずに草を食べている。
羅臼に到着
15時30分、今回の目標地点知床羅臼に到着。
本日の寝床は「知床国立公園羅臼温泉野営場」だ。
熊の湯について、詳しくはこちら
原生林に囲まれた野趣あふれるこのキャンプ場は、意外に市街地も近く、またすぐ隣には無料の露天風呂「熊の湯」もあり、ライダーにとっても人気のキャンプ場だ。
確かこの時はテントを設営後、市街におりて居酒屋で夕食を済ませる。
キャンプ場に戻り、「熊の湯」露天風呂に入浴する。
ここは、地元の温泉愛好家が管理しており、夕方になると地元の人、漁師の方が大勢入浴にくる。
一度に浸かる事が出来ないくらい、めちゃくちゃ熱い。どれだけ熱くても、水で埋めると地元の方に叱られるのでみんな熱さに耐えながら入浴をしている。
何度か出たり入ったり繰り返して、ようやく体がなじんでくるのだが、それでも誰かが動いてお湯に流れが出来ると刺さるように痛い。。。
2002年7月13日
熊の湯
ちょっと写真がぶれてしまった。
朝5時頃にもう一度熊の湯に浸かる。
夜間多少気温が下がったことと、お湯の出す量を幾分少なくしている事と、体もなじんできたのだろう。昨夜よりは程よい湯加減で、ひとりきりの温泉を楽しむ事が出来た。
6時くらいになると、地元の方が清掃にやってきた。
ここは、毎朝愛好家たちが交代で温泉の清掃を行っている。
「これもまたひとつの思い出」と思い、私もデッキブラシを持って一緒に清掃を手伝った。
知床峠頂上を目指して登る。
羅臼側はきついコーナーの連続だが、道幅は広く予想していたより走りやすい。
峠の頂上に近づくにつれ、雲が多くなってきたが、遠く国後島が見えた。
頂上は完全に雲の中となったので、殆ど素通り状態で、ウトロ側を降りる。
羅臼側と対照的にこちらは天気が良かった。
自然センターから、R93を知床五湖に向かった。
知床五湖
この当時の知床は世界自然遺産の認定も受けておらず、五湖周辺もヒグマの出没の危険性が無い限り、無料で自由に散策が出来た。
写真は1湖から知床連山を望む。
世界自然遺産になった現在は、期間によって散策も制限され、ピークの夏ともなると、異常に高すぎるガイド料を払って随行してもらわないと歩く事ができない。
自然保護は非常に大切だと思うから、その精神は尊重するが、でも、あの高すぎるガイド料はそれだけの理由だろうか?
五湖の散策を終えて駐車場に戻ってきて、ふとバイクのタイヤに目が行った。
何と!後タイヤの横から糸が見えだしている!
「こりゃぁマズイ!!」。。
本当は戻る途中でカムイワッカの湯の滝にも行く予定にしていたが、この状態でダートを走るのは絶対に無理。
それでも、ただ戻るのはあまりにも悔しいので。岩尾別温泉の「三段の湯」までは行く事にした。
岩尾別のホテル地の涯の駐車場となりに無料の温泉がある。
3段にくぼんだ湯船の上流から温泉が流れ込み、浴槽ごとに微妙な温度差ができている。
もちろん、無料&混浴の温泉だ。
水着をつけても可だし、そのまま・・でもOK。
見物人もいたので、私は、持ってきた海パンにはき替えて入浴をした。
非常に心細いタイヤの状態のまま、峠を越えキャンプ場に戻る。
途中、いつバーストするか。。。コーナーもあまりバンクさせることが出来ないので、超スロースピードで何とか曲がる。
やっとの思いでキャンプ場までたどり着き、今日のところは取りあえず無事。
「明日からどうしようか?」
あたりの小枝や残った炭を拾い集め、テントの前でたき火をしながら、のんびりした雰囲気を楽しむ。
サイトで直火ができると事もこのキャンプ場の良さだと思う。
明日からの問題を忘れ、しばしぼんやりと過ごした。
私のテントサイトのすぐ近くには2人の白人ライダーがテントを張っている。
こちらを見て、笑顔であいさつしてくれた。
「すごく旅慣れているなー。」
テントを挟んで両側にバイクを停め、フライシートのロープをバイクに結んでいる。
「様になってるなー。」
2002年7月14日
この当時、キャンプ場ではソフトバンクは圏外となっていたので、翌朝、早々にテントを撤収し羅臼の道の駅まで行き、バイク屋を探す。
と言っても、羅臼はもちろん中標津にもバイク屋はない。
電話帳を調べタイヤの在庫を持っている釧路のバイク屋の番号をメモし、何とかそこまで行く事を決心した。
羅臼からは160kmくらいはある。「釧路まで持たないかもしれないな~。」
わずかな可能性に期待をしつつ出発することにした。
ところが、、、中標津市街まであと数キロの地点まで来た時に、「バスー」。。ついに後タイヤがバーストをしてしまった。
何とかだましだまし少しだけ走らせ、そば屋のチェーン店Fまで来て、バイクを停めた。
メモをしておいた釧路のバイク屋に連絡をして、タイヤを中標津まで持ってきてもらい、その場で組換えをする事にした。
どんなに急いでも1時間半はかかる。Fそば屋で、あまり美味しいとは言えないそばを食べ、時間を過ごす。
疲れている様子をみた店員さんが「横になって寝ててもいいですよ」と、優しく声をかけてくれたのが唯一の救いだった。
養老牛温泉ホテル大一(現 湯宿だいいち)
何とか無事にタイヤ交換も終え、これでまた安心してツーリングを再開できる。
と、言いたいところだが、何せ思わぬ出費がかさみ、所持金に不安を感じる状況に陥ってしまった。
旅程を大幅に短縮せざるを得ない。
それでも、このままオメオメと帰るのも悔しいので、まずは養老牛温泉に入浴する。
多和平
虹別から磯分内方面へ向かい、来る時から寄ろうと決めていた多和平に着く。
ここも、開陽台ほどではないにしろ、晴れた日には大パノラマを見る事が出来る場所だ。
周囲は牧場に囲まれ、キャンプ場も備えられている。
一時はここもライダーのメッカとなっていた場所だ。
ライダーハウス大坂屋食堂
いくら旅程を短縮すると言っても、今日中に帰宅するのは無理があり過ぎる。
キャンプをするにしても適当な場所が無い。
足寄町にライダーハウスがある事はすでに調べていたので、そこを利用することにした。
ここは、食堂の店主がやっている古くからあるライダーハウスらしい。
入口のドアを開け尋ねる。「すみません。泊りたいんですが、いくらですか?」
丸い眼鏡をかけた老店主が優しい目で「食事をしたら、タダ。。。」
当然、夕飯はここで食べるつもりだ。味噌だれの焼き肉定食を注文した。
これがまたメチャクチャ美味しかった!
私の他にも3人のライダーが利用していた。
経営者の老夫婦はライダーと話をするのがとても好きらしく、これまで来たライダーの事などいつまでも楽しそうに話をしてくれた。
食堂の隣にある部屋で雑魚寝をする。
タイプの違うライダー同志が、途中で口論になり、気まずい雰囲気が漂う。
おまけに、夜中は激しいいびきに睡眠を妨げられる。
やはり、色々な人が集まって一晩過ごすってのは、良くもあり悪くもあるもんだな、と実感する。
2002年7月15日
早朝、荷物を積み早めに帰路につくことにして、ライダーハウスを出た。
コンビニで朝食を買い、道の駅あしょろ銀河ホールで食べていると、ライダーハウスで一緒だったライダーの一人が近寄ってきた。
私とは違う人種のライダーで、正直話はかみ合わないにも関わらず、延々と1時間以上も話しこまれてしまった。
すっかり足止めをくらい、「ヤレヤレ・・・。」予定していた時間から大幅にズレ込んで室蘭へ向かって走りだした。
帰り道の士幌から瓜幕へ抜ける一直線道路、R274は快晴!
そこで、チョット遊びを思い付き、動画撮影をしてみた。
首からストラップでカメラをぶら下げていたが、録画ストップがうまくされず、まるでバイクが大転倒をしたかの様な映像になっている。
まあ、このCMS(MovableType)に動画をアップする試験も兼ねているので、悪しからず。
今回のツーリングは、自分の未熟さを改めて思い知った旅であった。事前の準備はしっかりとするべきだ。
また、天候にもイマイチ恵まれず(この時期だから余計なのだが)、不完全燃焼状態のまま夏の道東ツーリングに幕を閉じてしまった。
しかし、青空の広がる絶景の道東を見るまではあきらめず、何度でもTRYする事も胸に誓った。
お世話になったライダーハウス「大坂屋食堂」は建て替えられ、後継者の方が先代の意志を継ぎ営業をされている。
いつかまたお世話になろうと思う。
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